症状の概要|体重減少とは

肥満度の判定に用いられる体格指数にBMIがあります。これは、体重(kg)を身長(m)で2回割った値を指し、日本肥満学会はBMI 22を適正体重とし、統計的に最も病気になりにくい数値とされています。
一方、低体重(やせ)の基準は、BMIが18.5未満とされています。やせ状態は、例えば、若年女性の場合、ホルモンバランスの乱れなどから貧血や無月経、また不妊のリスクを増加させます。
その他、一般に体重減少は、免疫力の低下、摂食障害、心身の疲労倦怠感、骨粗鬆症、フレイルの増加など、さまざまな不調をもたらします。
漢方の視点|体重減少は主に「脾胃(胃腸)の弱り」「腎の消耗」

漢方では、飲食物から気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)を産み出す働きは、五臓六腑の中で主に脾胃(ひい)が担当します。
また、腎は水液代謝と関わり、生命力の根源である腎精を蓄えます。大病や手術、出血、過労、ストレスなどの要因で脾胃や腎の働きが弱まると、体の構成要素(気・血・津液や腎精)が失われ、結果体重減少に至ると考えます。
漢方の分類では、「気」とは見えないエネルギーや機能のことで「陽」に属し、「血、津液、精」とは栄養、潤いほか、体の構成要素全てをさし「陰」に属します。
今回のテーマ、体重減少とは内を流れるエネルギー(気)のみならず、体を形作る物質(陰)が何らかの理由で失われる病理現象です。
体重減少と関わりの深い漢方の病理分類とし、主に脾の気陰両虚、胃陰虚、腎陰虚などがあります。
漢方体験記|Aさん(63歳女性)
長年服飾の仕事に携わってきた63歳・女性のAさん(当初 身長166㎝、体重47kg)は、最初は知人のご紹介で訪れました。
1年半程前に胃癌の手術で、胃の2/3を摘出されています。
術後、数か月もの間、ダンピング症候群(※)でだいぶ苦しい思いをされたと言います。
元々やや細身の体型でしたが、術後体重は更に減り続け、初回来店時には還暦時と比べて10.5kgも落ちていました。
※ダンピング症候群:胃の切除などにより、食べ物が十分に消化されないまま、短時間で小腸に流れ込むことで引き起こされる、動悸、めまい、腹痛、下痢、嘔吐など一連の症状の総称です。
薬局でのアプローチ|まずは、脾(胃腸)の気と陰の回復を優先

Aさんの場合は主に、脾(胃腸)の気と陰の回復を促す漢方薬と、飲食の消化吸収を助ける消導薬を中心に、まずは4ヶ月間の服用と、併せて食養生も実践頂きました。
ご本人の話では体重が落ちるのを気にし、これまで肉でも、卵でも、時にこってりの油物でも、「とにかく食べなきゃ」と一生懸命だったようです。
しかし、その甲斐むなしく痩せ細る一方で、食後は強い倦怠感と睡魔におそわれ、朝はほぼ泥状の軟便で、ガスの臭気は強めとのことでした。
合わない食事内容と、Aさんのお腹の受容量を越えた過度の飲食が、消化不良で弱ったお腹に益々負荷を強いていたようです。
日常の食事量や内容を見直すとともに、漢方的には、まずは受け皿となる脾(胃腸)の気と陰のバランスに注目し、消化吸収・代謝排泄といった機能回復が急務と考えました。また食養生の中では、野菜中心の和食を、よく噛み、腹八分で。
腸活の一助として、漬物など、発酵食品もつとめて摂取頂く旨をお伝えし、これらを地道に実践頂きました。
経過と変化

Aさんが漢方を開始して2ヵ月、食欲、便通ともに、じわりと回復傾向です。時にお友達と外食した時などは、まだ翌朝の便がゆるい泥状になるそうですが、形あるバナナ便の日が少しずつ増え始め、ようやく体重減少にも歯止めがかかりました。 そして、月を重ねて食欲が安定し、開始4~5か月目には食後の強い眠気やだるさも、気付けばほぼ消失していました。その頃を境に、生命力の根源である腎陰(腎精)の回復と、免疫の底上げも兼ね、新たに良質の植物性補腎薬をご紹介し、普段用に追加頂きました。
それから更に半年が経過し、有難いことに滋養効果の高い補腎薬も、少量から始めたことが効を奏してか、ほとんど胃腸の負担となることも無かったようです。
現在では血色の回復とともに当初のやつれ感もだいぶ薄れ、体重も4.5kg程増えました。
そして、今年冬の大寒時分、家族内でご主人とお嬢さんは、風邪とインフルエンザにかかってしまったものの、「私だけは不思議と平気だったんです~。お陰様で♪」と、驚いたご様子。以前と比べ、声にも張りも感じ、なんとも元気そうです。
「快食、快眠、快便」が、健康の3要素と言われますが、そのうち胃腸関連のワードが2つも含まれています。近年、腸管免疫という言葉を耳にする機会も増えましたが、漢方の「脾(胃腸)」 と、免疫も含めたカラダの根幹たる「腎」を下支えする意義に、改めて気付かされた一例です。
胃腸・消化器に関するご相談者さまの声
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体重増加(結果)を急がず、飲食が身になるカラダ作りから

飽食な現代社会、とかく肥満が問題視されがちです。
ただ、その一方で、「太りたくても、太れない」
「周囲から、痩せた?(やつれた?)と、心配されるのが辛くて、怖くて…。」
との悩みの声も、決して少なくはありません。
食べて、食べて体重を無理矢理に増やすというより、漢方では、飲食の消化・吸収や代謝・排泄力を支える、「脾」や「腎」をまずはしっかり補うこと。
その過程で、しっかり食べて→すっきり出せて…の正の循環を取り戻し、それらが日々繰り返されながら、必要分は吸収貯蔵され、自然に身につき、血肉となっていくイメージです。
実は私自身も、中々太れない体質の一人で、皆様のお気持ちを察しつつ、これら漢方薬と、食養生に日々助けられているんですね。(笑)
体重減少対策として用いられる漢方薬



- 瓊玉膏(けいぎょくこう)
- 参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)
- 生脈散(しょうみゃくさん)
- 味麦地黄丸(みばくじおうがん)
- 香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
- 附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
- 補中医王散(ほちゅういおうさん)
- 味麦益気湯(みばくえっきとう)
- 帰耆建中湯(きぎけんちゅうとう)
- 亀鹿二仙膏(きろくにせんこう)
- 婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
- 参楂神(さんざしん)
- 百合参玉飲(びゃくごうじんぎょくいん)
- 艶麗丹(えんれいたん)
- 瓊玉膏(けいぎょくこう)
- 参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)
- 生脈散(しょうみゃくさん)
- 味麦地黄丸(みばくじおうがん)
- 香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
- 附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
- 補中医王散(ほちゅういおうさん)
- 味麦益気湯(みばくえっきとう)
- 帰耆建中湯(きぎけんちゅうとう)
- 亀鹿二仙膏(きろくにせんこう)
- 婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
- 参楂神(さんざしん)
- 百合参玉飲(びゃくごうじんぎょくいん)
- 艶麗丹(えんれいたん)

